介護現場などでよくみられる「変形性膝関節症(OA)」
基本的には保存療法(リハビリ)となることが多く、お医者さんからも「運動してくださいね」的なことを言われているかもしれません。
が、当の本人は「痛いから動けない」とリハビリに消極的なことがよくあります。
ご家族や介護施設のスタッフからも
「こんなに痛がってるけど、本当に運動させていいの?」
「痛いときに運動すると、余計に関節を痛めてしまうのでは?」
という心配の声も聞こえてきます。
が、痛くても運動してもらう方が良いみたいです。
目次
痛くても運動してOKな理由
運動してもらって問題はないです。
海外の研究でも「運動は膝の軟骨をすり減らすことはない」という結果が出ており、むしろ軟骨の状態を改善する働きすらあるとのこと。
関節の軟骨は動かすことで栄養がいく仕組みになっているので、妥当な研究結果だと思います。
また、どんな運動でも大丈夫とのこと。
おすすめはウォーキングなどの有酸素運動や下半身の筋トレなど、下肢のパフォーマンスを改善するものが最適です。
ただ、ジャンプ運動はあまりしないほうがいいです。
「そんなことするわけないでしょ!」と思われるかもしれませんが、たまに無茶する人がいるので念のため。
最初の方は運動によって一時的に痛みが強くなるかもしれませんが、時間が経てば落ち着いてくるそうです。
安静は逆効果
膝に限らず、腰や肩など多くの慢性痛は安静にしていると逆効果です。
運動しない→膝を支える筋力が低下&体重増加→膝への負担が増える→痛みが悪化→さらに運動しない
という悪循環になってしまいます。
がんばって運動してもらえれば、
運動する→筋力向上&減量→膝の負担が軽減→痛みが緩和→歩きやすくなる
という好循環が生まれていきます。
運動には「痛み止め」の効果も
また、運動には痛みを和らげる効果もあります。
運動をすると脳から痛みを抑制するホルモン(ドーパミンなど)が出てきます。
これは「痛み止め」などの薬と同じ効果が期待できるとも言われています。
このように、痛くても運動することメリットは大きくリスクはありません。
安心して運動してください。
最初の痛みを乗り切る工夫
運動すればだんだん良くなるとはいえ、最初の頃は痛いわけです。
このツラい時期を乗り切る工夫として、まず有効なのはサポーターです。
薬局などで売っている1000円くらいので構いません。
これを着けるだけでも膝の関節が安定し、痛みを和らげてくれます。
ただし、ずっと着けっぱなしだと血流を阻害するリスクがあります。
運動する10~20分ほど装着して終わったら外す、という運用がのぞましいです。
杖や歩行器などと比べて低コストで導入できるのもポイントです。
もちろん、杖や歩行器なども、すでにお持ちの方は使っていただくと良いでしょう。
運動後のケア
また、運動後に膝をアイシングするのも有効です。
わざわざアイスノンを買わずとも、保冷剤で十分。
保冷剤を2つ、膝の内側と外側にあててください。
直接は肌にあてず、ズボンやサポーターの上からです。薄いタオルで巻いてもらってもOKです。
冷やす?or温める?で議論されることも多い膝ですが、運動後は関節は熱を持っている可能性が高いので「冷やす」で正解です。
それでも「なんか冷たすぎるな~」と感じたら外せばよろし。自分の感覚を信じましょう。
まとめ
・痛くても運動すべき
・リスクはない
・膝関節の軟骨の状態も改善
・安静は逆効果
・脳からのホルモンで「痛み」も緩和
・最初はサポーターや杖などの道具も有効
・運動後のケアはアイシング(冷やす)が基本
こんなところですかね。
以上、できる工夫をして何とか頑張っていただきたい。