目次
習慣とは
(心理学用語)
広辞苑第六版「習慣」
反復によって習得し、少ない心的努力で繰り返せる、固定した行動のこと。
脳の中の大脳基底核によりコントロールされている自動行動でござい。
人の行動の大半は身につけた習慣
人間は理性の生き物でもなければ、本能の生き物でもない。
ジョン・デューイ
人間は習慣の生き物である。
アメリカの哲学者・教育などにも大きな影響を与えた
どれぐらい習慣的な行動に支配されているか?
人生の約45%が習慣的な行動(個人差あり)
デューク大学の研究
約30%は睡眠
∴45(習慣)+30(睡眠)=75%は決まった行動ということに。
→45%をコントロール・最適化すれば人生が変わる。
(ライフハッカーたちも注目)
大脳基底核がコントロール
哺乳類の大脳基底核は運動調節、認知機能、感情、動機づけや学習など様々な機能を担っている。
Wikipedia
習慣や繰り返し(ルーティン)など無意識の行動は、大脳基底核が制御している。
一方、意識や意図的な行動は、前頭前野がコントロールしている。
習慣化のメリット
習慣になると、その行動について感情を感じなくなる。
→嫌なことでも、少ないストレス(心的努力)でできる。
例)歯磨き
毎回の歯磨きの度に「よしやるぞ!」「いやだなー」とは考えない。
歯を磨くタイミングが来たら、当たり前にやるだけ。
嫌なことor苦手なことは習慣化してしまおう!
※注意:楽しいことも習慣化してしまうと、楽しさが減少する
習慣化の方法
良い習慣を身につけるためには、人間の脳の性質と意志力を上手く利用することが重要。
人間の脳の性質
■変化や新しいものを嫌う
人間の脳は、変化や新しいことを嫌う傾向があると言われている。
まず、感情や体温を一定に保とうとする性質がある。
これは爬虫類時代からの自己防衛本能で「ホメオスタシス(恒常性)」と呼ばれる。
また、フィジカルではライオンやチーターに勝てないため、慎重に行動する必要があった。
好奇心旺盛で、うっかりライオンに近づいたら食べられて終了。
臆病で慎重な個体が生き残ってきた。
だから「変化=危険」と捉え、なるべく自分が今までしてきた行動の範疇(安全が保証)で行動する。
■小さな変化を好む
一方で、脳には可塑性(変わりやすい)があるとも言われている。
好奇心だったり、現状に飽きて刺激を求めたり、マイルドな変化を好むという一面もある。
【まとめ】
人間の脳は、急激な変化は苦痛だが、小さな変化は好む。
意志力について
・目標などをやり遂げる力
・誘惑などをガマンする力
・前頭前野が司る
・判断やストレスで消耗すると言われている
人間の意志力は限られている。
ロイ・バウマイスター
ネガティブな感情やストレスの処理で消耗し、前頭前野の働きが弱まると、
大脳基底核に支配されている習慣行動をとるようになる。
ダラダラと過ごしたり、誘惑などに負けるようになる。
良い習慣を身に付けておけば、誘惑に打ち勝つことができる。
意志力は「習慣化」のためだけに使う。
ケリー・マクゴニガル
小さな目標からはじめる
目標が大きすぎると挫折
やってはいけないことは、最初の目標を大きくすること。
脳は急激な変化を嫌うため、「最初の一歩」がもっとも大変で難しい。
にもかかわらず、最初のハードルを高くしてしまうと、拒絶反応が出て挫折する可能性が高い。
最初のハードルは限界まで低く
だから、最初の目標はバカバカしいほど簡単にする必要がある。
最初の一歩を踏み出すことさえできれば、あとは弾みをつけていくだけ。
何ごとも0から1にするのは大変だが、1を10にしていく作業は難しくない。
例)
・スクワット → 毎日1回
・ランニング → ランニングウェアに着替える
・読書 → 毎日1ページ(1行でもいい)
このように、最初のハードルはできるだけ小さく細分化する。
脳が抵抗を感じなくなるまで、「もう失敗するはずがない」レベルまで下げる。
目標が小さすぎるとは決して考えないこと!
とにかく0を1にすることが重要。
設定した目標より多くやること(おまけ行動)について
設定した課題より多くやることを、おまけ行動と言われている。
このおまけ行動については、上限を決めずにやってOKという意見と、それ以上やらずにストップすべき(最低3日)という意見がある。
後者の理由は「もっとやりたい!」という気持ちを起こすことが重要だから、とのこと。
私自身が試してみたところでは、おまけ行動を制限しない方がより多くのことが達成できた。
書籍「小さな習慣」でもおまけ行動はOKとされている。
達成できたら自分を褒めよう!
たとえどんなに小さな目標でも、達成したらしっかり自分を褒めることも重要。
成功体験を認識し、積み重ねるのだ。
無意識で行動=習慣化
やがて、無意識の状態でエネルギーをほとんど使わず行動できるようになる。
これで「小さな習慣」が身に付いたことになる。
習慣が身に付くと、やらないと落ち着かないor気持ちが悪いと感じるようにさえなる。
そうなればしめたもの。
小さな変化を積み重ねる
「小さな習慣」が身に付いたら、それを徐々に拡大させていく。
回数や量・時間を増やしていく。
飽きをなくす意味もある。
許容できる範囲の変化を積み重ねること!
=スモールステップの法則
【まとめ】
最初の目標は極端に低く、慣れてきたら徐々に上げる。
習慣化までの日数は?(諸説あり)
21日という説
人は意識して行動を続けると、3週間ほどで無意識に行動できるようになる。
インキュベートの法則と呼ばれ、行動心理学での研究で導き出された数字。
根拠がないわけではないが、懐疑的な意見もある。
平均66日という説
ロンドン大学の研究で導き出された数字。
簡単なもの(朝に水を飲むなど)は18日~難しいもの(腹筋50回など)は250日、平均は66日。
【個人的な結論】
小さな習慣なら20日ほどで身に付くと思われる。
余裕をもって1ヶ月を目安にしよう。
習慣化のコツや注意点
1つのことに集中
目標は1つずつ。
2つ以上の習慣を同時に身につけようとしない。
例)「朝1時間勉強する」の場合
「1時間早起き」と「1時間勉強」の2つの要素に分け、1つずつ攻略する。
一生続けたい習慣を年に4~5つ身につけるペースで。
「トリガー」「時刻」「場所」を固定する
トリガー:きっかけになる動作
朝起きたら◯◯をする
お昼ご飯を食べたら◯◯をする
お風呂から上がったら◯◯をする
など
最適なものは、すでにある習慣。
いつもやっていることに、小さな行動を付け足す。
例)
・朝起きて洗面台の前で足踏み10回
・トイレに行く時にかかと上げ3回
など
※紙に書いてその場所に貼っておくのもあり
時刻:いつやるか?(今でしょ!)
厳格に時間を守る必要はなく「午前中に」「8時より前に」などざっくりでも可。
習慣化が進んでくると、同じ時間に行動したくなってくる。
場所:専用の場所
例)
・バスルームは読書のスペース
・英語の勉強をするときはダイニングで
・勉強専用のイスを設ける
・ブログ執筆のためだけのパソコンを設ける
など
難しい習慣は「朝」にやる!
前頭葉の力である意志力は、朝がいちばん保有量が多いとのこと。
難しく感じるor身に付けたい重要な習慣は朝に取り組む。
成長する思考を持つ
人間には「固定化された思考」と「成長する思考」の二つがある。
固定化された思考:できることしかやらない
日本の教育現場で起こりがち「間違えると怒られる・恥ずかしい」成長する思考:できないものに積極的にチャレンジ
「ある考え方」をすれば90%の子どもたちが難問にチャレンジするようになった。
スタンフォード大学の心理学者キャロル・S・ドゥエック教授
できなかったときには
「まだできない、でも慣れればできる」
「今はまだ辛いけど、明日はもっと上手くできる、楽にできる」
という考え方をしよう。
できなかったときに、自分を責めると「意志力」が消費されてしまうので、この思考はとても重要だと思われる。
紙やホワイトボードに書いて貼っておいてもいい。
その他
20秒ルール
身につけたい習慣:20秒早める
ショーン・エイカー
やめたい習慣:20秒手間を増やす
習慣化したいことは、今よりも20秒早くできるようにする。
例)
筋トレ器具を自分の近くに置いておく
勉強道具を準備しておく
本のページを開いておく
朝に運動したいならトレーニングウェアを着て寝てしまう
など、とにかく良い習慣が「やりやすい」環境をつくってしまうことが大事
逆に、やめたいことは手間を増やす。
例)
禁煙するためにタバコを南京錠のついたボックスに入れる
など
集団の力を借りる
同じような人達がいる集団に属し、その人達の話を聞くだけで無駄な意志力を使わないで「やろう」という気持ちが高まる。
例)
アルコール中毒の患者の集団が、同じアルコール中毒の人達の努力を話し合うことでアルコール中毒を克服する意志が強まる。
最後はこの言葉
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
マザーテレサ
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
いちばん大事なのは「考え方」というのは同意。
ただ、具体的に気をつけることができそうなのは「言葉」かな?
普段使う言葉を改善することで、思考も変わっていくという説もあり。
良い習慣を身につけるためのもっとも基本的な方法は、「使う言葉を改善する」でFA!
参考書籍
・スタンフォードの自分を変える教室
作者: ケリー・マクゴニガル,神崎朗子
・WILLPOWER 意志力の科学
作者: ロイ・バウマイスター,ジョン・ティアニー,渡会圭子
・幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論
作者: ショーン・エイカー,高橋由紀子
・習慣の力 The Power of Habit
作者: チャールズ・デュヒッグ,渡会圭子
・小さな習慣
作者:スティーヴン・ガイズ,田口 未和