「肩コリを解消するストレッチや体操って色々あるけど、結局どれをやればいいの?」
「なるべく簡単で早く終るのがいい。」
という方へ、聞いていただきたいことがあります。
10秒間だけ背伸びしてください!
私は整体師として10年以上(独立して8年)、肩コリの症状もたくさん診てきました。
しかし、自分では自分の治療はできないので、運動や体操で自己メンテナンスするしかありません。
ということで色々試してみた結果、これがもっとも簡単・安全・早い・効果的という結論に達しました。
もちろん、患者さんにも薦めています。
そんなに簡単でいいの?と思われるかもしれませんが、
ほかの多くの整体師や治療師も薦めています。
なぜ効果があるのか?
この記事では、その理由について解説していきます。
理由を知ることで、納得感をもって取り組んでいただけると思います。
目次
肩コリの主な原因=常に引っ張られている
肩の筋肉は、腕の重さで常に下に引っ張られて緊張しています。
常に引っ張られていると、やがて肩の筋肉は消耗して傷ついていきます。ときには炎症(腱板炎)が起こります。
すると脳は、これ以上引っ張られないように筋肉を硬くしてしまいます。
これは自動で働く防衛反応で、筋性防御と呼ばれています。
また、動かないことで血の巡りが悪く、疲労物質や老廃物も溜まっていきます。
筋膜癒着が生じることもあります。
腕を肩より上にあげる動きがどれくらいあるのかを考えてみます。
高い所のものを取る、洗濯物を干す、頭をかく・洗う、髪の毛をさわる、くらいですかね。
頻繁に家事をするか髪型を気にするナルシストでもない限り、一日の大半は腕が肩より下がっていると考えられます。
このように、ずっと伸ばされ続けるというストレスで肩周りがサビついていってしまいます。
高齢者の場合は、肩の筋肉が擦り切れてしまい腱板断裂に発展することもあります。
肩コリの解消=縮めてあげればOK
肩コリを解消するためには、この引っ張られているストレスから解放してあげる必要があります。
つまり、伸びている状態の肩の筋肉を、縮めて緩めてあげれば良いということです。
そのためには、普段の状態と逆の動き=背伸びをしてあげればOKです。
10秒だけ背伸びのやり方
両手を組んで上に持ち上げ、肩甲骨をグッと引き上げるように伸ばしていきます。
そのまま10秒間キープします。
すぐに血流が巡ってきて、心地よい感覚がわかると思います。
動かすことで、血流改善や老廃物の排出も促せます。
このように、普段とは逆の動きをしてあげることで緊張が緩和し、体のサビが取れていきます。
他にも、肩コリの解消方法としてテーブルなどに肘をついておくというのも有効です。
腕の重さが軽減されるため、肩の緊張を緩和することができます。
(「品がない」と言われるかもしれませんが・・・。)
いつ、どれくらいやればいい?
もっとも効果が期待できるタイミングが、寝る前(1日の疲労をリセット)や起きてすぐ(身体をほぐして活動スイッチをON)です。
日中もできれば30分~1時間に1回、気がついたタイミングで行うと良いでしょう。
手や肩が上がらない人は?(高齢者・五十肩)
高齢者の方や四十肩・五十肩の人で、痛みや硬さなどでのため「肩が上がらない」という人もいます。
そういう方はあおむけで行ってください。
あおむけで行うパターン
あおむけに横になった状態で、少しずつ腕を上げていきます。(腕は床につけたまま)
それから頭上方向に手を伸ばしていきます。(難しい人は腕を広げるだけでもOK)
そして肩甲骨を引き寄せるようにグーッと伸ばします。
肩の筋力をほとんど使わずに行えるため、より筋肉の緊張を緩めることができます。
元気な人でも自宅などですぐに横になれる人は、「あおむけ背伸び」の方がオススメです。
デイサービスの利用者さんの中にも、この方法で肩の上がりが改善した方がいます。
ちなみに、四十肩・五十肩とは拘縮を伴う肩の痛みです。
「動かして冷やすこと」が基本メソッドなので、この「あおむけ背伸び」を行うことで改善が期待できます。
頭痛にも効果があるの?
頭痛には「緊張型頭痛」「偏頭痛」「群発頭痛」の3種類があり、このうちの「緊張型頭痛」には効果が期待できます。
緊張型頭痛とは
ストレスやデスクワークなどで血行が悪くなり、頭や首の筋肉が緊張することで起こります。
首や肩コリを伴うことが多く、関連性があると言われています。
肩周囲の緊張を緩めることで首や脳への血流を改善できるため、肩コリを治すことで緊張型頭痛にも効果があると考えられます。
実際に私の整骨院でも、頭痛を訴えていた患者さんに、肩の治療を施したら頭痛が改善したというケースは頻繁にあります。
ダイエットにも効果があるの?
10秒背伸びを行うことで、肩甲骨周囲や胸などの褐色脂肪細胞が刺激され代謝を促すことができるので、ダイエット効果も期待できると考えられます。
褐色脂肪細胞とは
私達の体内には大きく分けて2種類の脂肪細胞、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞があります。
白色脂肪細胞は皮下や内臓に分布し、体内の余分なエネルギーを脂肪として蓄積します。
そして、褐色脂肪細胞は肩まわり・鎖骨付近や胸まわりなどに分布し、脂肪を燃焼し熱を産生する働きを担っています。
もっと動ける人へのオススメ
もっと元気で体が動かせる人は、より大きく肩甲骨を動かしましょう。
ぶらさがり健康
普段は伸ばしにくい筋肉群をまとめて伸ばすことができるため、色々な健康効果が期待できます。
とくに「広背筋」という背中から腰までの大きい筋肉を、しっかりと動かせるのはグッドポイントです。
肩こりだけでなく、腰痛にも効果が期待できます。
足を地面につけてぶら下がってもOKです。
近所の公園などで(人がいない時に)どうぞ。
10秒で十分です。
キャッチボール
個人的に最強のエクササイズです。
肩だけでなく、腰の状態も改善します。
下半身の筋肉や肺活力など、全身の強化が可能。
なにより楽しくできるのがポイントです。
私の自己メンテナンス目的で、弟や義父を相手にキャッチボールしています。
義父は、5分~10分で「肩と腰のかたさや痛みがなくなった」そうです。
左右両方の手で投げるべし!
可能であれば、利き手でない反対の手でも投げてみましょう。
キャッチボールの難点は、どうしても左右のバランスが偏ってしまうことですが、両方の手で投げるようにすればお悩み解決です。
グローブも右投げ用と左投げ用の2つを使いましょう。
最初はまっすぐに投げることはできないと思いますが、割とすぐに慣れます。
どうしても難しいという人は、タオルなどを振って練習してみましょう。
面白いのが、反対の手で投げた後に利き手で投げてみると、コントロールと球速が増していることがあります。
これを学習転移といい、反対の手で上達した技術の一部が利き手にも転移するらしいです。
私は左(反対の手)で投げた後に右で投げるのが一番の醍醐味になっています。
指にかかる感覚が変わるんです。
めっちゃ楽しいです。
ぜひとも、試してみてください。
都内ではできる場所が少ないので、もっと増やしていただきたい。
まとめ
・肩の筋肉は腕の重さで常に下に引っ張られている。
・緊張を緩めるために普段と逆の動き=背伸びをしてあげればOK。
・寝る前と起きてすぐが効果大、日中も30分~1時間ごとに。
・手が上がらない人はあおむけで。(元気な人もこちらがオススメ)
・首や脳への血流改善→緊張型頭痛にも効果が期待。
・肩まわりの褐色脂肪細胞を刺激→代謝UP=ダイエット効果が期待。
背伸びを10秒だけ。
そんなに簡単で意味があるの?と思われた方も、これで納得していただけたと思います。
ぜひ、試してみてください。
コストはたったの10秒です。
参考:
整形外科学改定第3版
弱った体がよみがえる人体力学
NHKきょうの健康 関節・骨を守る295のQ&A事典