【圧迫骨折】いつの間にか骨折している?でもそんなに心配しなくていいらしい

50歳以上で、
「最近、背中が丸くなった。」
「身長が低くなった気がする。」
という方、圧迫骨折しているかもしれません

【圧迫骨折とは】

背中の椎骨が押しつぶされるような骨折のことで、骨密度の低い人がちょっとした衝撃で生じてしまいます。
転倒や尻もちだけでなく、中腰の姿勢・少し重いものを持つ・くしゃみという程度のわずかな外力でも生じます。
「いつ受傷したかわからない。」
と、本人が骨折したことに気づかないことも多く、「いつの間にか骨折」と言われています。
(このケースは私の周りでも多いです。このネーミングは合っていると思います。)

診断を受けていないだけで実は圧迫骨折している、という人は多いと考えられます。

この記事では
「もしかしたら、圧迫骨折かもしれない。」
「圧迫骨折していたら、どうしよう?」

「すでに圧迫骨折していると言われた。」
という人にむけて、情報をまとめていきます。

痛みがないことの方が多い

圧迫骨折の症状は、
・急な腰痛
・運動痛(寝返りなど)
・叩打痛(背中を叩くと痛い)
です。

しかし、痛みがなくても骨折している場合もあります。
むしろこちらのケースの方が多く、なんと全体の3分の2が痛みがないそうです。
正直おどろいております。
NHKの本に書いてあったから、間違いないと思います、多分。

まずは年齢と姿勢の変化

痛みがない場合、「骨密度」「姿勢の変化」で判断してください。

骨密度がわからない、という人は「年齢」で判断します。
一般的には女性は50歳以上男性は70歳以上で骨密度が低下していきます。

姿勢の変化で見るポイントは2つです。

①背中が丸くなった

・お腹が出た、前かがみ
・カベを背にして立った時に、頭の後ろがカベにつかない

②身長が低くなった気がする

3cm以上縮んでいる場合は注意とのこと。
1~2cmは骨折がなくとも縮むことはあります。

以上に加えて、「腰や背中が痛い。」という人はさらに可能性が高くなります。
「腰が痛くて整形外科に行ったら、骨折していた。」という話は本当によく聞きます。

男性でも注意

骨粗鬆症は女性に多く、圧迫骨折の割合も女性の方が高いです。
しかし、男性は骨密度が正常でも、ガンや糖尿病、多量飲酒、喫煙などで骨質が劣化することがあり、骨折の割合は高くなります。

2本以上骨折していることもある(わりとよくある)

複数ヶ所の骨折を多発骨折といいます。
圧迫骨折は連鎖して多発することが多く、1ヶ所折れると次も折れる確率が2.6倍にもなるとのこと。

私の周りでも、腰椎の骨5つのうち4つが圧迫骨折していたという人が二人いました。
そのうちの1人は私の患者さんで、しかも男性でした。

何本も骨折していたら、どうしてもショックを受けると思います。
しかし、そこまで深刻ではないと考えられます。

新しい骨折か古い骨折かは、MRIで判断

骨折したばかりの新しい骨折を「新鮮骨折」、一定の期間が過ぎてしまった古い骨折を「陳旧性骨折」といいます。
どちらであるかは、MRIでの診断が有用とのこと。

新鮮骨折の場合は、ギプスや装具での固定がスタンダードとなります。
陳旧性の場合も、骨がまだくっついていない場合は固定することになりますが、すでに骨融合していることもあります。

圧迫骨折は予後良好のケースが多い

私の患者さんやデイサービスの利用者さんの中で、圧迫骨折後(多発骨折を含め)に腰痛に悩まされたり生活が不便になった、という人はいません。
たまに「痛みはないけど、背中が丸くなった気がする。」と気にする方がいますが、ほとんど違いがわかりません。
「理論上は変形していると思われますが、ごくわずかです。見た目でも違いがわからないレベルなので、気にしなくて大丈夫だと思います。」と説明すると安心してくれます。

私の祖父も80過ぎてから2回ほど圧迫骨折(転倒・尻もちで)をしておりますが、どちらも腰痛などの後遺症はありませんでした。
彼も「背中が丸くなった気がする。」と言ってましたが、「元々そうだよ。」と答えました。

また、予後は良好のケースが多いという調査もあります。
その調査によると、常に痛みやシビレを感じるという人は少なく(全体の約10%)、痛みを感じたとしても「腰が重たい」という程度であるとのこと。
また、一時的に立ち上がりや日常生活動作が困難になることがあっても、時間とともに改善していくとのことでした。

対策は骨を強くすること

骨粗鬆症の対策と同じ、運動食事が重要です。

詳しくはこちらをどうぞ→自宅でできる!骨粗鬆症の予防対策まとめ

まとめ

圧迫骨折の可能性のある人

・50歳以上の女性
・70歳以上の男性
・最近、背中が丸くなった
・身長が低くなっている気がする
・腰や背中が痛い

ガンや糖尿病、多量飲酒、喫煙なども関係

多発骨折していることもあるけど、予後は良好なケースが多いです。

今からでも遅くはないので、しっかりと骨を強くする対策をしていきましょう。

参考)
NHKきょうの健康 シニアの骨粗鬆症・圧迫骨折を防ぐ
NHKきょうの健康 関節・骨を守る295のQ&A事典
腰と脊椎の名医が教える 腰の激痛 最高の治し方 大全
脊椎圧迫骨折の予後  ̶ アンケート調査より ̶
友田淳雄 1) , 青木一治 1) , 木村新吾 1) , 上原 徹 1) , 鈴木信治 (MD)1)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA