「接遇マナーなんてどうでもいい」と思っている私が敬語を使う理由

近年、介護業界においても「接遇」が重視されているようです。

「接遇」とはなんぞや?

お客様に対しておもてなしや思いやりの気持ちを持って接するスキル。
サービス業でよく使われる言葉です。

ふーん、あっそ。

そして私の勤める施設でもこの「接遇研修」を毎年のように行っています。

配布された資料には~

接遇マナー5原則
①「表情」・・・明るく・笑顔
②「身だしなみ」・・・清潔感・機能的・安全性
③「挨拶」・・・目線を合わす・ゆっくりはっきり
④「言葉遣い」・・・○丁寧・✕馴れ馴れしい
⑤「態度」・・・相手の話を聴く

以上のことが、ダラダラと読みにくい文章で書かれておりました。

とくに言葉遣いが重要視されております。

友達口調はダメ
よそよそしくてもダメ
専門用語はダメ
子どもに話しかけるような~・・・ダメ
相手の尊厳を~・・・

はいはい、わかったわかった。

接遇マナーは本当にどうでもいい

社会的には問題になっているらしいですが、それで誰かが怪我をしたわけでもないでしょ?
気にしなくていいです。

はっきり言ってそれどころじゃないです。

急に立ち上がる、フラフラ外に出ようする、転びそうになる、近くにあるものを触りだす、次々と予測不能な利用者の行動。
とてもじゃないけど丁寧に対応している余裕はありません。

気持ちに余裕のない状況で、「おもてなし」だの「思いやり」だの求められても反発されますよ。
衣食足りて礼節を知る。
介護職員に接遇マナーを要求する前に、まず穏やかに仕事ができる環境を整えるべきです。

そんなことより事故が起きないように見守り人員を増やしてくれ。
動線が確保できるようスペースを増やしてくれ。
壊れかけた不安定なイスを買い換えてくれ。
老朽化したトレーニングマシンのメンテをしてくれ。

マズローの欲求段階説でも尊厳(社会的欲求)よりも安全の方が先でしょ。
ついでにわけのわからん書類業務も減らしてくれ。

そもそも私の施設では、上層部が平気で友達言葉(タメ口)を使っております。
グループマネージャーとセンター長が率先して友達言葉で話してます。
不思議に思いマネージャーに聞いてみたところ、

「タメ口のほうが相手が心を開いてくれる。」

さすがに驚きました。
では、なぜ研修をしているのですか?全く意味がわからない。
もはや恐怖です。
(でも個人的にはこのマネージャーを気に入ってます。見てて面白い。)

そんなわけで、うちの施設では友達言葉が割と頻繁に飛び交っているわけです。
しかし、それでも文句を言う利用者はおりません。
「言葉遣いが無礼だ」「不快だ」といった類のクレームは聞いたことがありません。
(もしかしたら心の中で思っているのかもしれませんが)

だから別にいいんですよ。どうだって。
そもそも言葉遣い程度のことでクレームを言ってくる利用者はロクなもんじゃありません。
放っておけば良し、やめていくならなお良し。

もちろん明らかな暴言は良くないですが、まずは安全第一。
そして介護職員に心の安定を。

私が敬語をつかう理由

それでも、私自身は敬語を使います。
いつでも誰に対しても敬語で話すようにしています。
たまにうっかり友達口調になってしまいますが、できれば敬語で徹底したいです。

理由は2つ
①自分を守れる
②楽

①自分を守れる

敬語を使えば自分の身を守れます。
立場を有利にできるというか、少なくとも不利にはなりません。

・嫌われない
当たり前ですが、敬語だと好印象です。
まず悪い印象は持たれません。
それだけで嫌われなくなるので、不利益な扱いを受けにくくなります。
嫉妬や執着を向けられたり、足を引っ張られたりすることも少なくなります。
これだけでもかなり快適です。

・距離を保てる
敬語を使うことで心理的な距離を維持できます。
敬語は警戒心から発せられることもあるので、相手との間に壁を作る側面もあります。

逆に友達言葉は、警戒心を解いているサインでもあります。
相手に隙を見せることと同じで、ある種の自己開示ですから、
人によっては心を開いてくれるかもしれませんね。
しかし、隙を見せるということは、侮られるリスクもあります。

そして心の距離が近いと、無遠慮な態度を取られたり過剰な要求をされることがあります。
変に好意を寄せられて、応じないと今度は憎まれたりという話も聞きます。
一定の距離を保てれば、このような無用なリスクを回避できます。

うちのマネージャーやセンター長も、確かに親しまれてはいます。
私も嫌いではありません。
しかし、どこかナメられているというか、軽んじられているようにも見えます。
利用者からわがままを言われたり、スタッフに指示を出しても反発されたり。
そんな空気を察してか、たまに圧力を発した態度を取ってくるんですけど、当然ながら逆効果です。

ちなみに私の意見や提案は受け入れてもらえることが多いです。
利用者から反発されることもなく、他スタッフからも協力していただけてとても仕事がスムーズです。(もちろん感謝しております。)
たまにセンター長から「ヨシダから言えば聞いてもらえる。」と他スタッフへの指示を頼まれたりもしますが、それでいいんですか?

とにかく、敬語を使っていれば嫌われることも侮られることもなく非常に快適です。
ときに冷たい印象を与えることもあるかもしれませんが、それで結構。
私も「ちょっと冷たい」「淡々としている」と言われますが、完全に狙い通りです。

「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略 by Think Civility です。

②敬語を使うのは楽

楽ですよ、敬語。
年上でも年下でも、男でも女でもどっちにも使えます。
相手によって変える必要はありません。

たまに年下や女性にフランクな態度になっている男性がいますけど、何がしたいんでしょう。
わざわざ態度を変えて接しているにも関わらず、相手からは
「偉そうに」
「女性軽視だ」
と低評価ボタンを押されまくってます。
余計なエネルギーを消耗し、積極的に嫌われにいく。
変わった哲学をお持ちなのかな?
「人生は非合理・無目的なものであるべき」みたいな?
すごーい岡本太郎みたいですね。

まとめ

ということで、接遇マナーなんかどうでもいいけど敬語を使うメリットは大きいですよという話でした。

敬語を使い、隙をなくして、他者との間に壁を作りましょう。
そして淡々と仕事をするんです。
楽ですよ(^^)

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